トイレに害虫が発生しやすい理由
トイレを気持ちよく使用するために害虫対策を学ぼう
トイレは湿気が多くて日が当たらないことから、湿気を好む害虫にとって居心地の良い環境をしています。家の中でも虫を見かけることが多いのはそのためです。家の中に虫がいるのは気分がいいものではなく、どうにかしたいと考えている人も多いでしょう。
ここでは、トイレで見かける害虫の種類や健康被害の有無、根本的な対策方法などをまとめているので、参考にしてください。
トイレで見かける害虫の種類
チョウバエ
発生原因
便所バエとしても知られ、トイレや排水口などでよく見かける全身が毛で覆われた黒く羽の大きい虫です。チョウバエは湿気があるところを好み、汚物や排水管にたまった汚れやヘドロに卵を生みつけて繁殖します。そのため、トイレはチョウバエにとって居心地が良く、繁殖にもってこいの場所です。
健康被害がある?
チョウバエは排水管のヘドロなどの汚れに住みつくため、全身ばい菌だらけです。チョウバエが食品などに触れると、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性があります。また、チョウバエは食べ物に産卵することもあり、気づかずに食べると「ハエ症」を発症してしまうことも。命の関わる病気ではありませんが、腹痛・下痢が数日続くため、注意が必要です。
シミ(紙魚)
発生原因
ダンゴムシをつぶしたような平らな形が特徴的な銀色っぽい色の虫で、頭には長い触角が伸びています。紙などをエサにしているため、トイレットペーパーや雑誌などを食べて繁殖。シミはゴキブリと同じく生命力の強い虫で、飢餓状態でも10ヶ月は生きられると言われており、寿命も7年~8年と虫の中では長めです。
健康被害がある?
シミは見た目こそ気持ち悪いものの、健康被害を及ぼすことはありません。人を刺したり噛んだりといった攻撃性もないため、身体的な被害を受けることはまずないでしょう。ただ、シミは紙や服の繊維などを食べるため、大切な本や資料、クローゼット内の衣類が被害を受ける可能性があります。
チャバネゴキブリ
発生原因
チャバネゴキブリはゴキブリのなかでもサイズが小さいため、2mm程度のちょっとした隙間からでも屋内に侵入することが可能です。暖かい場所や湿度が高い場所を好み、集団で生殖します。繁殖力が高く、繁殖スピードも早いので、早期駆除が肝心。また、侵入経路を遮断する対策も必要になってきます。
健康被害がある?
チャバネゴキブリは排水口から侵入してくることがあるほか、雑食性で生ゴミなどの汚物を口にしている可能性があります。病原菌や細菌を持ったチャバネゴキブリが媒介となって、食中毒や腸炎といった健康被害を引き起こすことも。また、ゴキブリの死がいや糞の一部を吸い込むことで、アレルギー症状やぜんそくを引き起こす危険性もあります。
ミミズ
発生原因
トイレにミミズが発生する原因としては、地盤沈下や地震による地割れでトイレの配管が割れ、そこから侵入している可能性が考えられます。トイレの配管内で生息し、便器内に侵入してくることも。配管内で生息しているミミズは、塩素系のトイレ洗剤を便器やタンク内の水に大量注入することで駆除できます。
健康被害がある?
ミミズがもたらす可能性のある健康被害については、確認できませんでした。そのため、トイレにミミズが発生したとしても健康被害を心配する必要はなさそうです。
ザトウムシ
発生原因
ザトウムシはトイレでよく見かける便所虫の一種で、クモのような8本の長い足が特徴です。見た目からクモの仲間だと思われがちですが、実際はダニの仲間に近いとされています。
乾燥した場所が苦手で、湿った場所や暗い場所で生息しています。そのため、家の中に侵入してトイレなどの湿気のある場所に住み着くことも。ザトウムシを発生させないようにするには、こまめな換気や湿気対策を行ってザトウムシが好む環境をつくらないようにすることが大切です。
健康被害がある?
ザトウムシは毒性がなく、人に噛みついたり刺したりすることもありません。健康被害の心配はないため、放置しても特に問題はないでしょう。見た目が苦手で家の中にいてほしくないという場合は、殺虫剤を使用して駆除するか、ホウキで外に掃き出すのがおすすめです。
カマドウマ
発生原因
カマドウマはバッタやコオロギの仲間で、便所コオロギとも呼ばれる大型の虫です。暗くて湿気が多い場所を好み、トイレや台所、洗面所、お風呂場などの水回りに侵入してきます。
カマドウマの侵入経路は排水ホースと床との隙間や通気口、換気扇など。また、湿度の高い床下で繁殖し、床や壁の隙間から入ってくることも。水回り以外では壁の隙間や網戸の破れ、キッチンの換気扇や通風口などから侵入してくるケースが多いようです。カマドウマの侵入を防ぐには、通り道となる隙間をふさぐ必要があります。
健康被害がある?
カマドウマに毒性はなく、人を噛んだり刺したりすることもないので、衛生的な害は基本的にありません。ただ、馬のように大きく飛び跳ねるので、こちらに飛び掛かってきて驚いてしまうことはあるでしょう。見かけた人に不快感を与える見た目をしていることから、不快害虫とされています。
ワラジムシ
発生原因
ワラジムシはダンゴムシに似た見た目をしており、その名の通りにワラジのような形状をしているのが特徴。暖かくて湿った場所を好むため、寒さをしのごうと室内に侵入し、大量発生することも。特に近年の住宅は高気密化や高断熱化が進んでおり、室内がワラジムシの好む温暖・多湿になりがちのため、ワラジムシが発生しやすくなっています。
健康被害がある?
ワラジムシは害虫とされていますが、人を刺したり病原菌を媒介したりすることはありません。ただ、足の多い見た目から嫌悪感を持つ人が多いため、不快害虫として駆除の対象となっています。
チャタテムシ
発生原因
チャタテムシは蒸し暑くジメジメとした場所を好んで生息し、湿度の高い夏~初秋の間に発生します。また、エサとなるカビを求めて集まるため、チャタテムシの発生を抑えるには湿度対策が必須です。
健康被害がある?
チャタテムシはダニやシラミに似た見た目をしていますが、人間を刺したり吸血したりなどの直接的な危害を加えることはありません。チャタテムシそのものには毒はないものの、乾燥して空中に舞うチャタテムシの死がいを吸い込むと、アレルギーの原因になる可能性があります。
また、チャタテムシが大量発生すると、チャタテムシを捕食するツメダニを呼び寄せてしまうことも。ツメダニはまれに人を刺して体液を吸うことがあり、かゆみや皮膚炎を発症させるリスクがあるので注意が必要です。
害虫を発生させないための根本的対策
貯水タンクの清掃
貯水タンクの汚れはチョウバエの主な発生源となるため、こまめに掃除するようにしましょう。
貯水タンクを清掃する際は、止水栓(見つからなければ元栓)を閉めてください。止水栓または元栓を閉めたらタンクのフタを開け、排水レバーを回してタンク内にたまっている水を抜きます。それからトイレ用洗剤を使って、タンク内の汚れをブラシでこすり落としましょう。タンクの隅や溝はブラシだと汚れが取りにくいので、使い古しの歯ブラシを使用するのがおすすめです。
タンク内の掃除が終わったら止水栓を開けて、タンク内に水をためます。水がたまったのを確認し、タンクのフタを閉めたら掃除は完了です。
排水管の清掃
貯水タンクと同様に、便器の奥にある排水管の汚れもチョウバエの発生源となります。
排水管の清掃に使用するのは、重曹と酢です。カップの4分の1くらいの重曹を排水口のまわりにまき、そこにカップ2分の1くらいの酢をかけると泡が出てきます。その泡を50度くらいのぬるま湯で流せば、排水管の汚れがとれるはずです。もしも汚れが頑固でとれない場合は、トイレ用洗浄剤を使用して落とすという方法もあります。
薬剤による殺虫
簡単かつ効果的な害虫駆除は、薬剤による殺虫です。殺虫剤にはスプレータイプとくん煙タイプがあり、すぐに駆除したい場合は扱いやすいスプレータイプを使用するのがおすすめ。一気に駆除するなら、トイレを締め切って殺虫成分を充満させるくん煙タイプが適しています。
ただ、どちらも強い薬品を使用していることが多いため、小さいお子さんやペットがいるご家庭では頻繁に使用するのは避けたほうが良いでしょう。飛び回るチョウバエが気になる場合は、粘着トラップを使用するのも効果的です。
いなくならないなら業者に頼もう
こまめな掃除や薬剤による殺虫を行っても害虫がいなくならない場合は、専門の駆除業者やトイレ業者に依頼しましょう。
専門の駆除業者なら、市販されている薬剤よりも強力な薬剤を使用して的確に駆除してくれます。また、トイレ業者に清掃を依頼することで、害虫の発生源になるところを徹底的にキレイにしてくれため、根本的対策としてかなり有効です。個人でできる対策にはどうしても限りがあるので、自分で駆除するのは難しいと感じたら業者に相談してみることをおすすめします。