水漏れ修理方法・直し方
トイレにトラブルが!でも自分で直せるの?
日常のトラブルはたくさんありますが、トイレのトラブルはその中でも最も緊急性を要するものだといえるでしょう。放っておけば水漏れがどんどん広がってしまいますし、マンションなどの場合は他の部屋にまで被害が広がってしまう可能性があります。そのため、トイレのトラブルはなるべく早く解決することが大切です。
ここで注意してほしいのが、解決を焦るあまり、とりあえず自分で修理しようとしてしまうことです。
必要な道具や十分な知識がないのに自力で修理するのは避けるのが賢明でしょう。いったんどうにかなったと思えても、完全ではなく気がついたら被害が拡大してしまったり、直そうとしていじっている間にさらに水漏れがひどくなってしまい、2次被害が広がってしまう可能性もあるからです。トラブルが起こったらなるべく早く解決したくなるのは当然ですが、なんとなくで修理しようとすることが一番危険だということを理解しましょう。
まずは応急処置!水漏れを止めよう
トイレのトラブルが起こったときにまずやるべきことは応急処置、具体的には水を止めることが大切です。水が止まっていない状態で修理をするのは危険ですし、修理が終わるまで水が漏れっぱなしになっていれば周囲への被害が広がるばかりだからです。水を止めないままで下手にパイプの接続部を外したり分解しようとしたりすると、水が吹き出してきてさらに被害が大きくなる可能性もありますので、水を止めないままで作業を始めるのは絶対にやめて下さい。
水を止めるには、まず止水栓を止めましょう。応急処置として水が漏れていると思われる場所をタオルなどで塞いでも、漏れてくる水自体を止めなくてはあとからあとから水は溢れてきてしまいます。漏水、破損箇所を塞ぐのは、止水栓を止めてからにしましょう。また、止水栓を止めたとしても、そこから先の部分に大量に水が残っているとその水が流れ出てしまいます。そのため、止水栓を止めたあとでトイレのタンクの中や便器の中の水の量が多い場合は、その水を汲み出しておきましょう。
作業開始!症状から原因箇所を見つけよう
まずは、どこから水が漏れているのか確認する必要があります。代表的な水漏れ箇所は、トイレタンク、給水管、温水洗浄便座(ウォシュレット)、床、便器の5つです。
【1】トイレタンク
もっとも水漏れが多い場所です。トイレタンクの中にはさまざまなパーツが入っており、それらがなにかの拍子で少しでもずれてしまうと、トイレタンクは正常に機能しなくなり水漏れが発生します。また、中のパッキンなどの部品の劣化も水漏れの原因となります。
【2】給水管
給水管からの水漏れもよくあるパターンです。この場合は、接続部分のパッキンの劣化やナットの緩みが原因となります。トイレの給水管は、壁の止水栓からタンクにつながる構造となっているため、水漏れは止水栓との接続部分、もしくはタンクとの接続部分の2箇所から起こります。
【3】温水洗浄便座(ウォシュレット)
温水洗浄便座からの水漏れは、パーツの接続部分にある部品の劣化が主な原因です。特に水漏れが発生しやすいのは、ノズル部分、操作パネルの裏側、タンクや給水ソケットなどです。経年劣化であれば簡単な部品の交換で直ることもありますが、電子部品の故障の可能性もあります。
【4】床
床の水漏れは、原因箇所がなかなか特定できないので厄介です。可能性があるのは、トイレタンクとの連結部分や便器本体のヒビ、床下の配管の破損などです。場合によっては自力で修理できることもありますが、基本的には専門家でないと修理は不可能だと思っていたほうがいいでしょう。
【5】便器
便器は陶器製なので、何かがぶつかって割れてしまうというケースもあります。割れたのが1箇所だけでも全体の強度が下がってしまうので、応急処置だけで長期間放置したりせずに早急に対応しましょう。
水漏れの原因別の直し方
原因箇所が違えば、その直し方も違ってきます。ここでは、原因箇所別にその対処法をまとめてみました。
まず簡単な概要と下に詳細な情報を紹介しています。
「トイレタンク」から水漏れ
まず、トイレタンクのフタを開けて中を確認してみましょう。中の部品がずれている程度なら、位置を戻すだけで直る場合もあります。それでダメなら部品交換を行いましょう。
「給水管」から水漏れ
止水栓を止めたあとに接続部のナットを緩め、パッキンを交換します。交換したらナットを締めて止水栓を開けましょう。ここでまだ水漏れがある場合は業者に修理を依頼して下さい。
「温水洗浄便座(ウォシュレット)」から水漏れ
止水栓を締めたあとに電源プラグを抜きます。そして、水漏れの発生箇所を特定しましょう。ノズルや操作パネル、便座の下などが多いです。ノズルの交換程度なら自分で可能な場合もありますが、操作パネルなどは業者に依頼しましょう。
「床」から水漏れ
止水栓を締めたあとに排水し、給水管や便器を外します。次にフランジパテを交換して元通りにします。難しい作業なので、専門業者に頼むほうが無難でしょう。
「便器」から水漏れ
中の部品の劣化による水漏れの場合は、部品交換のみで解決する場合もありますが、便器自体の破損、ひび割れなら便器を取り替えることになります。こちらも業者に依頼するのが無難でしょう。
一応、結露の可能性もあるので注意しましょう。
トイレタンクが原因の場合の対処法
トイレの水漏れで一番多いのが、トイレタンクの水漏れ。主な原因は「トイレタンク内のパーツが正しく機能していないケース」です。
狭いトイレタンクの中には、いろいろなパーツが入っています。何かの拍子にそれぞれのパーツがちょっとズレたりしても、きちんと機能しなくなります。その場合はちょっと触れば直ることもあるので、よく観察してみましょう。
また、節水のためにタンク内にペットボトルなどを入れている家庭がありますが、これはタンク内のパーツのズレや破損を招きやすいので、あまりおすすめできません。
タンクとパイプの連結部分で水漏れが起きている場合は、連結部のナットが緩んでいないか、パッキンが劣化していないかなどをチェックします。
連結部分のパッキンやタンク内の「浮き玉」「浮きゴム」などが劣化している時は、その部分を交換します。汎用部品で修理できることもありますが、中にはメーカー独自の部品もありますので、注意しましょう。
「部品の種類がよくわからない」「ホームセンターに買いに行く時間がない」という方は、無理せず専門業者に連絡しましょう。その方が早くて確実ですし、結果的に安く修理できる場合もあります。
とくに、原因がはっきりしないのであれば、タンク自体が破損している可能性もありますので、安易にいじらないことが重要です。
ゴムフロートが原因の場合の対処法
トイレタンクからの水漏れの場合、ゴムフロートが原因であることがあります。その場合は、ゴムフロートを交換しましょう。
用意するものは以下のとおりです。
- 交換用の新しいゴムフロート
- マイナスドライバー
- ビニール手袋
まず、マイナスドライバーを使って止水栓を締めます。このときには、必ず手動のドライバーを使って下さい。電動だと回しすぎて、止水栓を壊してしまう能性があるからです。止水栓を締めて水を止めたら、次はタンクの中に手を入れられるようにレバーを引いて水を抜きます。
水を抜いたらゴムフロートの交換です。ゴムフロートは、チェーンとオーバーフロー管の2箇所に接続されていますので、ここを外します。先にチェーンを外しましょう。チェーンの構造は溝に引っかかっているだけなので、簡単に外せます。オーバーフロー管との接続も外したら、次はゴムフロートの交換です。
ゴムフロートを取り付ける前に、タンクの中をたわしできれいにしておくといいでしょう。ゴムフロートのチェーンを付けるときには、長さをうまく調節することが大切です。チェーンの長さで、トイレに流れる水の量を調節することができます。短いと水の量は増え、長いと少なくなります。
ゴムフロートを交換したら、止水栓を開け、正常に水が流れば交換完了です。
浮き玉が原因の場合の対処法
トイレタンクの中の水の量は、浮き玉によってコントロールされています。タンク内の水かさが増えると浮き玉の位置が高くなり、タンクへの給水が停止する仕組みになっているので、浮き玉に問題があると給水が止まらず、水漏れするのです。浮き玉が原因の場合は、まずトイレの止水栓を締め、トイレタンクのフタを開けます。トイレタンク内の水かさを標準に合わせます。標準水位の位置は、タンク内のオーバーフロー管にある「WL-」の表記をチェックしましょう。ない場合は、オーバーフロー管の先端から、およそ2~3cm内を目安として下さい。また、水位調整リングがある場合はそれを用いて、ない場合は浮き玉の付け根付近にある支持棒上下に曲げて調整します。
次に、トイレタンク内の水を抜き、鎖を点検します。鎖が樹脂製の場合は大小レバーともに鎖を2個余らせた状態で取り付けます。ステンレス製の場合は鎖は3個余らせましょう。どちらの場合でも、適度に遊びを持たせた状態で取り付けるのが大切です。
浮き玉がどこかに引っかかっていたりしないかを確認したら、トイレタンクのフタを閉めて止水栓を開けます。
連結部分が原因の場合の対処法
タンクと給水管の連結部分からの水漏れの場合、パッキンの劣化が原因だと考えられます。まず止水栓を締めて水を止めてから作業をして下さい。しっかり水を止めていないと、作業中に水が吹き出してしまいます。また、家全体の水道が使えなくなりますが、安全のために元栓も締めておくのが確実です。止水栓は、マイナスドライバーを用いて時計回りに回して締めましょう。
止水栓を締めたら、タンクの接続部のナットを緩めます。用いる道具はモンキーレンチがいいでしょう。緩めているときに、タンク内のボールタップが動かないように手で押さえておきましょう。
ナットを緩めたら、パッキンを交換します。交換するパッキンのサイズが合っていないといけないので、あらかじめノギスで給水管の直径を測っておきましょう。それが難しい場合は、外したパッキンをホームセンターなどに持っていき、同じサイズのものを探しましょう。パッキンが交換できたらナットを締めて、止水栓を開けます。水を流してみて、接続部分からの水漏れがなくなっているかどうか確認しましょう。もし、再度水漏れがあるようなら、パッキン以外の部分の問題が考えられます。業者に依頼して調査してもらったほうがいいでしょう。
温水洗浄便座(ウォシュレット)の水漏れ
多くの家庭が愛用している温水洗浄便座。トイレタンクの次に多いのが、このウォシュレットなど温水洗浄便座部分からの水漏れです。
水漏れ箇所は各パーツのジョイント部分、温水が噴き出すノズル部分、作動ボタンの裏側、タンクと給水ソケットの辺りがほとんどです。
ネジやパッキンなどの経年劣化が原因ならば、部品の交換で直る可能性もあります。
ただし、ウォシュレットは電化製品。思った以上に細かなパーツで構成されている機械なので、「単純な水漏れ」ではなく「機械の故障」という可能性もあります。
そのため、「安易に修理して逆に大きなトラブルになった」「分解修理しようとしてコードに水がかかり火災になった」など、恐ろしいケースもあるとか!
ウォシュレットの水漏れは素人判断で対処せずに、すみやかにプロにお任せすることをおすすめします。
ノズルが原因の場合の対処法
ウォシュレットのノズルが原因の場合は、ノズルを掃除・交換することになります。まず止水栓を締めるのは他と同じですが、ノズル交換の際には、漏電防止のために必ず電源プラグを抜くのを忘れないようにしましょう。
ノズルが反応しないときやノズルから水が流れ続けているときは、リモコンの電池が切れている可能性もあります。リモコン式の場合は、まず電池を交換して様子を見てみましょう。それでも改善しない場合は、掃除や交換となります。
ウォシュレットのノズルは、ゴミなどが絡んでいると正常に動作しなくなるので、お掃除ボタンなどがある場合はそれで、ない場合は手動でノズルを引き出します。掃除をしても改善しない場合は交換しましょう。
交換用のノズルはホームセンターやインターネットなどで購入できますが、メーカーに合わせたものが必要です。メーカーや型番などによっては見つからないこともありますので、メーカーに問い合わせましょう。ノズルは反時計回りに回せば外れます。交換したら時計回りに回して取り付けます。取り付けが終わったら、ボタンを再度押すか手動でノズルを元の位置に戻します。ノズルの汚れについては、普段からこまめに洗浄ボタンで洗浄してトラブルを予防するといいでしょう。
トイレの床からの水漏れ
水漏れの中でもやっかいなのが、原因の特定しづらい床からの水漏れです。トイレの床から水漏れした場合の原因はさまざま。主にタンクや便器のビビ、排管の接続部分の劣化、給水パイプの破損などが挙げられます。
最初に原因の特定と応急処置のために、タオルを床に置いて一晩放置します。すると、タオルの濡れ具合によって水漏れの箇所をある程度特定することができます。たとえば、タンク付近なら便器とタンクの接続部分から、便器周辺ならヒビからの水漏れが疑われます。
排管の接続部分から水漏れしている場合は、パッキン部分が劣化している可能性があります。パッキンはホームセンターで売っているので、購入して交換しましょう。工具を使えば比較的簡単に修理できます。
しかし、タンクのヒビや給水パイプが破損している場合は自分で修理するのは難しいため、修理の専門業者に相談しましょう。
タオル方式でもあきらかな箇所が見当たらない場合、不具合の原因を特定するのは困難だといえます。また難しい修理の場合、自分で無理に直そうとするとさらに事態を悪化させてしまう可能性があります。少しでも無理だと判断した場合は、修理のプロに依頼してください。
全てのトラブルが自力で解決できるわけではない
トイレの水漏れは、その種類や規模によっては自分で部品を用意したりして、わりと簡単に修理できる場合もあります。しかし、もちろん全てのケースがそうではありません。ここでは、自力での解決が困難なケース、自力で解決しようとするべきではないケースについて見ていきましょう。
ウォシュレットのトラブル
電池の交換やノズルの掃除くらいなら自分でできますが、操作パネルの電装系に問題がある場合は、自力での修理は困難です。感電や火災の危険性があるので、無理に自分でやらないようにしましょう。
また、ノズルの故障についても、先端部分だけではなく給水をコントロールするバルブユニットに問題がある場合は自力での修理は難しいでしょう。本体を分解しなくてはいけませんし、交換に必要な部品の入手は業者でなくてはできない場合も多いです。
便器内の詰まり
便器内の詰まりを自力で直そうとする場合は、主にラバーカップを用います。しかし、おもちゃやスマホなどの固形異物を誤って流してしまった場合は、排水管に流さずに取り出さなくてはいけないので簡単に取れそうな場合を除いてラバーカップを使用してはいけません。また、トイレットペーパーなどの流してもいいものが詰まっている場合でも、ラバーカップで5回程度試してみても改善されない場合は、重度の詰まりの可能性があります。あまりしつこくやると詰まったものを配管の奥へ押し込んでしまい、さらに状況が悪化する可能性があるので見切りをつけて業者に依頼することをおすすめします。
自分で修理するときにはここに気をつけよう
やむを得ず自分で修理するときには、気をつけなくてはいけないことがいくつかあります。ここでは、トイレの水漏れを自分で修理する際に気をつけるべきポイントをまとめました。
電源プラグを抜く
ウォシュレットなどの電源プラグがトイレのそばにある場合は、感電や火災の危険性があります。作業をする前に、必ず電源プラグを抜いてから作業をするようにしましょう。
必ず止水栓を締める
なにが原因の水漏れでも、まずは止水栓を閉めて水を止めておくことが大切です。水を止めない状態で作業をすると、水が吹き出してさらに水漏れが悪化してしまいます。また、ウォシュレットがついている場合はウォシュレット用の止水栓がありますが、間違えずに必ずトイレの方の止水栓を止めるようにしましょう。
自宅のトイレに合致した交換パーツを用意する
パッキンが劣化している場合など、水漏れの状態によっては、パーツを交換しなくてはいけない場合があります。自分で交換用のパーツを用意する場合は、事前に必ずトイレに合致したものを用意するようにしましょう。でないと交換できなかったり、交換できても水漏れが収まらなかったりすることがあります。市販のものが見つからなかったり、合うパーツがどれかわからなかったりする場合は業者に教えてもらいましょう。
便器やタンク本体の破損は業者に任せる
パーツの交換や軽度の詰まりなら、道具やパーツがあれば自力でも修理が可能です。しかし、便器やタンク本体に破損がある場合はそうもいきません。こうした場合は便器やタンクを丸ごと取り替えることになります。重量物なので、この場合は無理に自力でやろうとせず、業者に交換してもらったほうが賢明です。
自力での解決が困難なら業者に依頼しよう
日曜大工などに慣れていたり、分解や交換のための道具があったりするなら、自力でのトラブル解決も可能でしょう。しかし、そうした作業に自信がない場合、水漏れが重度だったりタンクや便器の交換が必要な場合は、素直に業者に依頼するのが得策です。水回りの作業には危険が伴いますし、水漏れの規模や度合いによっては自力での解決が困難な場合もあります。そうしたときに無理に自力でやろうとするとかえって被害が拡大してしまうことも。。。
また、こうしたトイレのトラブルは早く解決しないと日常生活に支障が出てしまいます。自分であれこれ試行錯誤するよりも、業者に頼んだほうがすばやく解決できます。水道事業者には土日祝日、24時間365日いつでも対応してくれるところも少なくありません。早朝や深夜でも対応してくれるので、早い解決を求めるなら業者に依頼するのが正解だといえます。
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自力で修理できるかどうかを見極めよう!
トイレの水漏れが起こった際には、とにかく急いでどうにかしたいと思うのが心情です。しかし、慌ててはいけません。まず、最初に止水栓を締めて、それ以上水漏れが広がらないようにしましょう。そして水漏れの原因箇所と状態を確認して下さい。簡単な部品の交換で済みそうな場合や詰まりの状態が軽い場合は自力での修理も可能ですが、詰まりがなかなか改善しない場合や、便器が破損していたり、ウォシュレットのノズルが故障していたりする場合には速やかに業者に依頼しましょう。そうしたトラブルは自力での解決が難しいばかりか、下手に手を出そうとするとかえって被害が拡大する可能性があるからです。水道事業者によって費用は異なるので、あらかじめ安く済ませてくれる業者を調べておくと、いざというときに素早い解決が望めます。
くれぐれも、十分な安全や必要な道具がない状態で自力での修理を行おうとするのは止めましょう。分解した部品がもとに戻せなくなったり、水が止まらなくなったりしたら大変です。まずは自分で修理できるかどうかをきちんと判断して、なんとなくでやろうとするのは止めましょう。