トイレのつまり修理と火災保険の関係
火災保険がトイレのつまり修理に使えるって本当?
トイレのつまり修理には多額の費用がかかる場合があり、家計の大きな負担になります。そんな修理費用を安く抑えられるかもしれないのが、火災保険です。加入している火災保険の契約内容によっては、トイレのつまりが保険適用の対象になることがあります。
いざというときのためにも知っておきたい、火災保険が適用されるケースと請求方法の手順について解説します。
まず確認すべきは火災保険の加入の有無や補償内容
まずは自分がどんな火災保険に加入しているのかを確認しましょう。火災保険に加入しているかどうか分からない場合は、以下の方法で確認できます。
・保険証券
・保険会社から送付されるハガキ
・保険料の支払履歴
・住宅ローンを利用している銀行
・ハウスメーカー
・不動産会社
火災保険への加入の有無を確実に確認できるのは、住宅ローンを契約している銀行をはじめ、ハウスメーカーや不動産会社です。保険証券や保険会社からのハガキなどが手元になくて確認するのが難しい場合は、契約している銀行やハウスメーカー、不動産会社に問い合わせてみましょう。
火災保険に加入していることが分かったら、次は補償内容を確認します。火災保険の補償内容に「水漏れ」が含まれていれば、保険が適用される可能性があります。ただし、加入している火災保険によっては補償されない可能性もあるので、補償内容や条件の確認が必須です。
補償内容や条件を手っ取り早く確認したい場合は、加入している保険会社に問い合わると良いでしょう。加入している保険の補償内容を確認することで、契約内容や更新を見直す良いきっかけにもなります。
賃貸に住んでいる場合の確認方法
アパートやマンションなどの賃貸物件に住んでいる場合、契約時に火災保険に加入するのが一般的です。ただ、物件によっては管理会社が火災保険に加入しており、個人での加入はしていない場合があります。個人で火災保険に加入していない場合は、まずは管理会社に問い合わせ、トイレのつまりによる損害で火災保険を利用できるか確認しましょう。
個人で火災保険に加入している場合は、手元の保険証券で補償内容や条件を確認するか、保険会社に問い合わせる必要があります。
【番外編】賃貸での修理費用は誰が支払う?
賃貸でトイレのつまり修理を行った場合、修理費用の支払いは借主負担になるのか、大家さんの負担になるのか気になる方もいるでしょう。賃貸での修理費用の負担については、つまりの原因がどちらにあるかで、誰が支払うのかが変わってきます。
修理費用が自己負担になるケースとしては、自分に原因がある場合です。自分に原因がある例には「異物を落としてしまった」「トイレットペーパーなどを大量に流してしまった」などがあげられます。こういった場合は借主側に原因があると判断され、自己負担になる可能性が高いでしょう。
一方で、普段の使用方法に問題がなく、建物側の問題がつまりの原因になっている場合は、大家さんが修理費用を負担するケースもあります。建物側の問題としては「排水管のメンテナンス不足」や「排水管の不備・老朽化の放置」などがあげられます。
トイレのつまりの原因がどちらにあるにしても、まずは管理会社に連絡しましょう。管理会社には基本的に提携している業者がいるため、管理会社に相談すれば業者を手配してくれることがほとんどです。管理会社に相談しながら、対処や費用の負担などについて確認するようにしてください。
火災保険が適用になるケース
トイレつまりの水漏れによる損害
トイレつまりで火災保険が適用されるのは、トイレつまりであふれた水によって壁や床、家財などに損害を受けたときです。あくまでも水漏れによる建物や家財の損害が適用対象となり、トイレつまりに対する補償ではありません。ただし、加入している火災保険の補償内容に水漏れによる損害が含まれていることが大前提となります。
トイレつまりの水漏れによる被害でも、下の階に被害を及ぼした場合については火災保険が適用されません。火災保険の特約となる個人賠償責任保険に入っている必要があるため、集合住宅に住んでいる場合は万が一に備えて個人賠償責任保険の契約を検討すると良いでしょう。
火災保険が適用にならないケース
トイレ本体の故障やつまり
火災保険が適用されるのは、トイレのつまりによる水漏れで損害を受けた場合です。そのため、トイレ本体の故障やつまり修理は火災保険の対象外となり、実費での負担が必要になります。
つまりの初期段階であれば、ラバーカップや真空パイプクリーナーを使用したり、お湯でつまりを溶かしたりなどの方法で対処することが可能です。また、大量のトイレットペーパーを流さないようにするなど普段のトイレの使い方を見直すことも、トイレの故障やつまり防止につながります。
故意による水漏れで受けた損害
火災保険が適用されるのは、トイレの使用に問題がなかったにもかかわらず、水漏れで建物や家財に損害を受けた場合です。
流せないものを無理に流そうとしたり、便器を改造しようとしたりして水漏れが発生したケースについては、故意による水漏れと判断され、火災保険が適用されない可能性があります。自力でのつまり解消が難しい場合は無理に対処しようとせず、早めに業者を依頼するようにしましょう。
強引な対処によって症状を悪化させてしまうと費用が余計にかかるだけでなく、火災保険の適用外になりかねません。
経年劣化による水漏れ
トイレの水漏れの原因はつまりだけでなく、パッキンや排水管の劣化で穴があき、そこから水漏れが生じることもあります。経年劣化による水漏れは火災保険の適用外になることが多いので注意しましょう。普段トイレを使用していてパッキンや排水管を気にする人は少ないと思いますが、掃除のときなどにトイレの状態をチェックしておくことをおすすめします。
少しでも違和感があれば業者に相談し、水漏れにつながる前にメンテナンスや修理を行うようにしましょう。また、メーカーが推奨しているトイレの使用年数に応じて便器を交換すると、経年劣化による水漏れ防止につながります。集合住宅に住んでいる場合は、管理会社に相談してみてください。
トイレの付属品の故障
火災保険が適用されるのは、トイレのつまりによる水漏れで建物や家財に被害が生じた場合のみのため、ウォシュレットをはじめとする付属品の故障は保険が適用されません。あくまでもトイレの一部としてみなされるので、トイレの付属品の修理費用は実費負担となります。
ただし、メーカー保証は利用できるので、保証期間内であれば無償で部品などを交換することが可能です。付属品を設置する際に受け取った保証書や取扱説明書に保証期間が記載されているため、確認してみましょう。また、故障した場合に備えて、保証期間中は保証書を手元に残しておくようにしてください。
受け取れる保険金の種類
トイレのつまりによる水漏れで損害を受けた建物や家財を修理したり、買い直したりするのに必要な費用が「損害保険金」として支払われます。また、修理や買い直し以外にかかる費用にあてられるのが、「費用保険金」です。費用保険金の種類には、主に「臨時費用保険金」と「残存物取り片づけ費用保険金」があげられます。
ただし、費用保険金については、火災保険に必ず付属している保険金ではないので、費用保険金を受け取れるかどうかは契約時の書面などでご確認ください。
臨時費用保険金
臨時費用保険金とは、火災保険の対象となる災害により、臨時に必要となった費用に対して支払われる保険金です。たとえば家の修理のためにホテルに仮住まいしなければならなかった場合に、その宿泊費用が臨時費用保険金で補償されます。
残存物取片づけ費用保険金
残存物取片づけ費用保険金は、水漏れで損害を受けた建物や家財の片づけに必要な費用を補償する保険金です。
損害保険金はどのぐらい支払われる?
保険会社から支払われる損害保険金の限度額は、建物や家財の評価額によって決定されます。建物や家財の評価額の計算は、損害を受けた物と同等な物を新品で買った場合、いくらになるのかを基準とした「新価(再調達価格)」を用いるのが基本です。そのほか、経年劣化を計算に含めて評価額を低く見積もる「時価」という基準もあります。
保険金は損害保険金の限度額までしか受け取れないので、修理や買い直しにそれ以上の費用が必要になった場合は、自己負担となります。
保険金を請求する手順
トイレのつまりによる水漏れで建物や家財に被害が生じて、かつ火災保険の補償内容に水漏れによる損害が含まれている場合は、保険会社に保険金を請求できます。ただ、どのように保険金を請求すればいいのか、手続きの流れを把握していない方も多いはず。いざというときのために知っておきたい、保険金を請求する手順を紹介します。
手順1.保険会社に連絡する
トイレつまりによる水漏れで被害を受けた場合、まずは加入している火災保険の保険会社に連絡しましょう。保険会社の連絡先は、保険証券や保険会社から送付されるハガキに記載されています。保険証券やハガキが手元にない場合は、契約しているハウスメーカーや住宅ローンの融資を受けている金融機関で確認することも可能です。
保険会社への連絡では、主に以下の事項を報告します。
・契約者の氏名
・証券番号
・水漏れ被害の発生日時・場所
・水漏れ被害の状況や原因
水漏れで建物や家財に損害を受けると不安で焦ってしまいがちですが、請求の手続きをスムーズに進めるには落ち着いて対応することが大切です。保険会社から被害の発生日時や状況などを聞かれたときに落ち着いて答えられるように、上記の報告事項をあらかじめメモにまとめておくと良いでしょう。
手順2.必要書類を提出する
保険会社に連絡した際、保険金の請求に必要な書類を指示されます。必要書類は保険会社から後日送付されるか、または保険会社のHPから印刷して記載する必要があります。保険金をしっかりと受け取れるように、指示された必要書類はメモに取っておきましょう。また、漏れのないように記載することも重要です。
保険会社に提出する主な書類は以下の通りです。
・保険金請求書
・罹災証明書
・罹災写真
・修理見積書
罹災証明書とは、罹災した事実や被害内容を証明する書類で、管轄の消防署や消防出張所で発行してもらえます。また、被害状況を撮影した写真や画像データなどもあれば提出しましょう。必要書類を保険会社に提出したら、保険会社からの連絡を待ちます。
手順3.保険会社による被害状況の確認
提出された被害状況だけでは把握できないことも多いため、保険会社から損害鑑定人や調査員が現地に派遣され、申請された内容が正しいかどうかを判断する現場調査が行われます。現場調査の結果が報告書としてまとめられ、その報告書をもとに保険会社は保険金の支払い額を決定します。
加入している火災保険の補償に水漏れによる損害が含まれているからといって、保険金が必ず支払われるわけではありません。保険会社の判断によっては、保険金を受け取れない場合もあります。
手順4.保険金を受け取る
保険会社から支払われる保険金額が決定し、その金額に同意すれば指定した口座に保険金が振り込まれます。提示された金額がきちんと振り込まれているかを確認し、問題がある場合は保険会社にすぐに問い合わせましょう。
保険会社から提示された金額に納得いかないときは、再度査定してもらうことも可能です。再査定を希望する場合は保険会社に連絡し、別の鑑定人による調査を依頼します。
まとめ
トイレのつまりによる水漏れで建物や家財に被害を受けた場合、火災保険が適用されます。トイレ本体の故障やつまり故障そのものには火災保険が適用されないほか、加入している火災保険の補償内容に水漏れによる損害が含まれていない場合も、保険金を受け取ることはできません。
トイレのつまりによる水漏れはいつ発生するか分からないからこそ、もしものときに費用負担を少しでも軽くしたい場合は、火災保険への加入や加入している保険の補償内容の見直し、保険会社の変更・更新を検討しましょう。また、トイレのつまりを起こさないように普段のトイレの使い方を見直し、定期的に問題がないかをチェックすることも大切です。